HOLPFI 一覧
2023年08月02日
支援終了を喜び合えるコミュニティ開発(VOC)
2023年6月18日〜23日、ハンガーゼロのフィリピンにおけるパートナー団体の1つであるハンズ・オブ・ラブ・フィリピン(HOLPFI)の活動地を訪ねました。
今回の訪問の目的は、7年間(関係作りを入れると9年間)支援してきたHOLPFIの手を離れて、アルサビ村のリーダーたちが地域変革を進めていくという区切りのお祝いに出席することでした。式典は村の入り口にある教会の会堂で行われました。アルサビ村を管轄するフォツナ町の町長さんが町会議員全員と参加してくださりお祝いの言葉を述べられました。私もハンガーゼロを通して支えてくださっている支援者の皆さんを代表して、お祝いと励ましの言葉を述べさせて頂きました。これまでのアルサビ(旧マイ)村とHOLPFIの歩みを振り返る動画が流され、功績のあった方々やリーダーたちが表彰されました。続いてリーダーのあるべき姿を教えるために弟子たちの足を洗ったイエスの模範に倣い、代表を務めている酒井保(ハンガーゼロ派遣職員)をはじめとするHOLPFIの皆さんやハンガーゼロの代表として私が村のリーダーたちの足を洗い、その後、リーダーが村の若者や弱い立場の方々の足を洗いました。また教会の賛美チーム、村人たち、HOLPFIのスタッフなどの歌が披露され、会堂に入りきれないほどの村人が集まりました。
祝い食事会の中で住民の宣誓文を披露
式典の後は、お祝いの食事会です。ハンガーゼロとHOLPFIから豚とスイカをお祝いとして差し入れし、村のリーダーとHOLPFIのスタッフが朝早くから200人分の食事の準備をしてきました。豚が食べられるのは、1年に1度あるかないかの大ご馳走です。村人たちは大人も子どももお皿やバナナの葉っぱを持って大行列を作りました。食事が済むと、集まった村人たちの前でリーダーが「これからも様々な資源を活用し、主体的にコミュニティ開発を進めていきます」という内容の宣誓文を読み上げ、リーダーたちをはじめとする村人が次々と宣誓文が書かれたバナーに署名(表紙写真参照)していきました。その後はくじ引きでプレゼントをもらったり、聖書クイズやゲームをして楽しいひとときを過ごしました。
住民主体(VOC)らしさが着実に浸透 今回の訪問で印象的だったのは、HOLPFIスタッフと村人の間に「与える者と受ける者」という一方通行ではない、良い関係が築かれていると感じられたことでした。それは、アルサビ村の人たちから「支援者」の訪問を歓迎する歌や踊りの派手な出迎えがなかったこと、スタッフや私たちの食事のために里芋などの農作物が届けられたこと、またHOLPFIがマイ村に通いだした頃には、高床式の家を建ててくれたと聞いたことなどから感じ取れました。この9年間HOLPFIが行ってきた、住民が主体となるコミュニティ開発であるビジョン・オブ・コミュニティ(VOC)の成果が、すごく自然な形で表れているのを見ることができ、とても感謝しました。
最初に取り組むべき課題として住民が子どもの教育を挙げ、リーダーが熱心に粘り強く小学校の誘致に動いたことも今に大きな影響を与えています。こんな辺境の地では、嫌々送られてきた教師が、任期が終わるや否や町に戻ってしまうのが常ですが、今アルサビ村にいる先生は、任期が終わった後、志願して来てくれたと聞きました。3~6年生を担当している男性の先生2人はとても明るく元気で、授業以外の時もいつも子どもたちと過ごしていました。
以前、村の人たちが総出で建てた校舎の裏には菜園ができていて、先生が生徒と野菜の世話をしていました。先生の一人は、住民が家の庭にバナナの木を植えたり花を植えたり、HOLPFIが来て生活が少しずつ文化的になってきていると嬉しそうに語っていました。学校で学んでくる子どもたちを通して、家族も村の生活も少しずつ変化していっているようでした。
教師と保護者が話し合って課題解決
市の予算がついて建てられた新校舎で9月から授業が行われると聞きましたが、机や椅子はもう3年も要請しているのに行政から回答がないので先生と保護者が話し合い、周りにある資源を使って各家庭で椅子を作り子どもたちに持たせることに決めたそうです。
今後、中学・高校へと進学する子どもの教育費のために生計の安定をはかることや、村人の栄養状態の改善も必要です。自治会や教会の役員、学校の先生などアルサビ村の様々なリーダーたちが協力して課題を認識し、活用できる資源を見つけ、自分たちが描く未来の姿(ビジョン)に向かって進んでいくとともに周りの村を手助けし、持続可能な変革が広がっていくように願っています。
HOLPFIのスタッフはこれから、アルサビ村のフォローアップをしつつ、新たに関わっていく村を特定するための調査と関係作りを続けていきます。アルサビ村の今の姿の裏には、HOLPFIの皆さんの献身的な働きがあります。今回のアルサビ村訪問で「人への投資こそが持続可能な変化を生む」ということを改めて確認した思いがします。
(報告:海外事業部 浅野陽子)
2023年06月09日
白鞘慧海ハンガーゼロ親善大使フィリピン視察報告
報告:ハンガーゼロ親善大使 白鞘慧海(しらさや・えみ)

3月9日〜17日、ハンガーゼロ親善大使として初の海外訪問の機会を頂き、フィリピンのマニラとミンドロ島に行って参りました。日本から同行して下さったのは、ハンガーゼロの田村スタッフ、ジェロムスタッフ、夫の谷口牧師。事前に田村スタッフからフィリピン支援、現状などのレクチャーを受け、期待と緊張が入り混じった思いで、9日夜、関西空港からフィリピンへと飛び立ちました。


人々を未来につなぐHOLPFI
パラニャケで感じた人々の「生きる底力」

深夜、マニラに到着し、ハンズ・オブ・ラブ・フィリピン(HOLPFI)の酒井保スタッフと合流。数時間の休息の後、翌日早朝から、マニラ首都圏のパラニャケにあるアーバンプア地域へ赴きました。この地域に住む人々の多くは、ペットボトルやプラスチック製品などのゴミを集め、それらを売って生計を立てているとのことで、見せて頂いた家の中にも集められた物が所狭しと置かれていました。全体的に匂いも強烈で、汗ばむ気候と混じり合い、息苦しさを覚えるような環境ではありましたが、そんな中にあっても皆、悲壮感など全くなく、誰もが笑顔で生き生きしていて「生きる底力」がみなぎっていました。私が今まで写真や動画で見てきたような2次元の景色だけではない、彼らのリアルな生活を立体的に肌で感じることができ、逆にエネルギーをもらったような貴重な体験でした。
「SPECS」という子どものためのプログラムにも参加させて頂き、聖書のお話を聞いた子どもたちが、先生の質問に元気に答えたり、賛美に合わせてダンスをしたり、一緒におやつを食べたり、次世代への教育が活発に行われる場面も見ることができ、先生や子どもたちの笑顔にも癒される豊かな時間となりました。
11日からミンドロ島へ渡り、日曜は、Jesus Christ Calapan Churchにて特別賛美を捧げさせて頂きました。賛美を聴いて涙される方もおられ、皆様の癒しや励ましとなれたことを感謝します。
ジャングルと川を超えてアルサビに向かう

そしていよいよ、13日からHOLPFIが大きく関わっている地域の一つ、アルサビ村(以前のマイ村)に入っていきます。人口約220人、世帯数は約60、マンヤンと呼ばれるミンドロ島原住民、タウブイッド族の方々が暮らしている村です。事前の説明では、この村に入るためには数時間ジャングルを歩き、川の中を何度も歩いて渡るとのことだったので、靴や服、帽子、手袋、サングラスなど、様々な物を用意、装備して村に向かいました。HOLPFIのスタッフ5名、荷物を運んで下さる村の方々も10名程加わり、約1時間半の行程を皆で大移動。結局、川は21回渡りました!
村の教会と学校でゴスペルを歌う

村の方々は、もともと戦いを好まない部族とのことで、皆さん穏やかでシャイな方々でした。村に入ると、まず教会が見えてきます。殆どがキリスト教徒で、毎日、朝と夕方に礼拝を捧げているとのこと。私も参加し自己紹介したところ、歌って欲しいということになり、急遽、賛美をすることになりました。村には電気が通っておらず、ピアノもないので、殆どアカペラで歌うような形になりましたが、それでも皆さん喜んで下さいました。
村の奥に進むと少し高台になっていて、教室が2棟建っており(3棟目建設中)、昼間は子どもたちの元気な笑い声や歌声が聞こえてきます。先生から「子どもたちに何か歌を教えて欲しい」という依頼を受け、「This Little Light Of Mine」というゴスペルでよく歌う曲を、振付きで子どもたちに覚えてもらって一緒に歌いました。最初は皆、とても恥ずかしそうにしていましたが、だんだん慣れてくると、声も振りも大きくなり、最後には一緒に手を広げてジャンプしてくれて、ジャンプする度に大きな声で笑ってくれました。心から楽しんでくれたようで嬉しかったです。その後、私が歌を教えてそれで終わりかと思っていたら、なんと、その子たちがお返しの歌を歌ってくれたのです。しかもオリジナルソングを!すごく綺麗なメロディと言葉で、涙が出ました。「神様はあなたのために天国におうちを用意してくれているよ」という意味の曲なのだそうです。
HOLPFIの子ども教育支援
HOLPFIは、食料、物資の一時的支援だけではなく、そのコミュニティからリーダーが輩出され、人々それぞれの潜在能力が発揮されていくような長期的支援を行っています。子どもたちの教育はその大きな基であり、奨学金制度を設けて彼らの未来を支えています。このアルサビの子どもたちも将来、村のリーダーとなり、更にはフィリピンのリーダー、世界のリーダーとなっていくかもしれません。今回、酒井保スタッフと共に、最初からずっと私たちを細やかにサポートしてくれた、アネススタッフも実は、以前支援された村の出身だそうで、奨学金を受けて大学を卒業し、現在HOLPFIスタッフとして大きな役割を担われています。支援の実が結ばれているその証を見ることができました。
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