2024年01月26日

【ウクライナ緊急支援】避難民にも支える人にも心のケアが必要


ウクライナで難民緊急支援活動に参加していた深水さんの報告。先月からの続きです。

報告④/ハンガーゼロ ウクライナ緊急支援チーム深水典幸さん

現地で働き続ける2組の日本人との出会い

 船越一家は、ノヴォロシアの一角であり報復爆撃の続いているオデーサで長年、教会の牧師をなさっている宣教師家族です。教会をあげて様々な人道支援を行なっています。現在、船越牧師は息子さんと一緒に従軍牧師−チャプレン−としても働いておられます。

 もうお一人の土子さんはクリスチャンでも人道支援ボランティアでもありません。ウクライナ語もロシア語も話せない普通のおじいちゃんです。彼曰く、ポーランドで年金生活を送ろうとしていた矢先、隣国のウクライナで戦争が始まったんだそうです。様々な支援を続けていく中、気がつけば爆撃の激しいハルキウの地下鉄で地元住民との共同生活を始めていたそうです。今は年金と募金を元に同市内にレストランを開き、食料配給と雇用創生に尽力しておられます。栄誉市民として表彰され、先日はウクライナの伝説賞を受賞された、正真正銘のウクライナのヒーローです。

 船越一家は加古川バプテスト教会を通じて、土子さんはクラウドファンディングで支援金を集めています。

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︎▲ウクライナの人々の食を助けるために、年金と募金で開いた土子さんのレストラン。右隣は王さん



ウクライナの子どもたち

 僕が宿泊していた神学校の隣には、コンテナシティと呼ばれる大きな避難所があり、様々な事情を抱えた避難民たちが押し込まれるように生活しています。混じり合う生活臭、働かず喫煙所にたむろする大人たち、戦地からの急な訃報。避難所全体が常にやるせなさに包まれています。彼らは助成金を受給しているはずなのですが、子どもたちはいつも同じ服を着ています。元々依存症の問題を抱える貧しい避難民たちは、簡単に配給や助成金に依存してしまいます。こうした背景からボランティアともめ事を起こしてしまうこともあります。子どもたちも10代の初めから喫煙や飲酒を始めてしまい、周辺住民からの避難所への評価も悪くなっています。比較的安全で日常に近い生活を送ることのできるリヴィウですが、ここはまるで陸の孤島のようです。

 同避難所において、ハンガーゼロは地元NGOの協力を得て週4回の体育教育を行っています。私も時間を見つけてはよく遊びに通っていました。子どもたちが元気いっぱい走り回っているだけで住民たちは明るさを取り戻します。私たちもたくさん元気をもらいました。子どもたちはまるで以前ウクライナ中を巡った時に見た菜の花畑のように、優しい笑顔を持っています。彼らはとっても怖い思いをしてきました。彼らはあの爆撃されたヘルソンの村のような寂しさも抱えています。彼らと過ごしていると楽しくて、悲しくて、たまらなくなります。

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▲コンテナシティの子どもたちと深水さん



暴力が釘付けられたままの心

 ウクライナの大人たちは疲弊しています。たとえ家族で西部や国外に避難できても、収まらない怒りや憎しみを子どもたちに伝えてしまうことがあります。「バンバンバン、あいつら(ロシア人)は人間じゃない」若い父親が子どもの体をつかんで揺らします。彼らの体は爆撃から逃れて自由なはずなのですが、その心は暴力に釘付けになったままでいます。あるドイツのドキュメンタリーの中で小さな少年が 「僕の夢は早く戦争が終わること」と答えていました。それは子どもの持つ夢ではありません。それは大人が持つような願いです。子どもたちの夢も戦争の暴力にさらされています。大好きだったケバブが買えない徴兵逃れ、ロシアへの怒りを抱える若い夫婦、両腕を失った帰還兵。ウクライナには多くの自由を奪われてしまった人々がいます。

 私のルームメイトは避難民のお父さんでした。彼は小さな娘さんと奥さんを国外に避難させました。「僕には両腕と両足が残っている、家族も無事だ。だから、いつでもやり直せるんだ」何度も何度も私に話してくれました。もしかしたら彼自身に言い聞かせていたのかも知れません。けれど「小さな娘の成長を見ることができない」「妻を近くで支えられない」と、どうしようもなく落ち込んでしまう日もあります。彼は娘さんには絶対に戦争を見せないと言っていました。「娘の幼少期は今しかないから、ただ走ったりジャンプしたりすることを全力で楽しんでいて欲しいんだ」。私たちは子どもの支援に学習支援とかスポーツ支援とか名前をつけて行います。けれども子どもたちはそれを受け取ろうとしないことがあります。まず僕らが念頭におくべきことは、今しかない子どもの自由な幼少期を支えることです。大人はただ学習支援というパッケージを押し付けるのでなく、人格も配慮すべきです。なぜなら、彼らの多くはそのような両親を戦争で失っているからです。

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▲避難民の仮設住居として使われているコンテナハウス(現在は2階建階層仕様)

 

内面のケア

 ウクライナ支援というとやはり一次支援のイメージが強くあると思います。配給や安全の確保などです。けれども人は植物のように環境や栄養を与えるだけでは生きていけません。避難民や国内ボランティアの内面的なケアが必要です。戦争を通して膨らんだ怒りや不安、無力感は彼らを捉えて離しません。彼らは内外ともに自由を奪われてしまっています。ウクライナの人々は外からやってくる悪と内面から湧き出る悪とに立ち向かわなければなりません。彼らはさまざまな罪、さまざまな死に直面します。死は大切な人を奪い、残された者の人生も飲み込もうとします。僕が思い出すウクライナはそこで出会った人々の顔をしています。いまだ僕はウクライナの全てを知り得ません。けれど、こうして報告させていただいたことは全て私の新しい友人らに起きている出来事です。ぜひ引き続き支援とお祈りとをよろしくお願いします。

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▲ハンガーゼロは子どもたちのためにケアプログラムを続けています



【ウクライナ緊急支援にご協力ください】

①郵便振替 00170-9-68590 一般財団法人日本国際飢餓対策機構 「ウクライナ緊急支援」と明記

②ホームページ 募金画面からクレジットカード、コンビニ決済がご利用できます。
ホームページはこちら▶︎ウクライナ緊急支援

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