2018年03月19日

【ラテンアメリカの人々とともに(10)】コチャバンバ州で住民一斉ストライキ


 2018年1月16日、私の住むコチャバンバ州で住民一斉ストライキ とデモ、道路封鎖が実施されました。私の近所の道路も近隣の人々により、そして主要道路等は公共交通車両他によって全面封鎖されました。(他3州ではすでに実施済)
 また昨年11月23日から今年1月10日までの49日間、医療関係者の全国一斉スト(公立・私立全て)が実施 されましたが、それは救急患者と入院者以外は診療を一切しないというものでした。

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【写真:一斉ストで道路封鎖をする住民たち(コチャバンバ州)】

 それは政府が昨年発表した新刑法・364項目全ての施行取り消しを要求する為でした。政府は国民の利益になる内容のみを強調していましたが、 医者の組合で綿密に調べた結果、幾つもの内容が国民の権利を奪うとても危険なものだということが分かったからです。特に項目第205(もし患者が医者から虐待を受けたと訴えた場合、十分な調査もしないまま患者の損害賠償と共に医者の資格はく奪の上懲役刑)に危機感を感じ、この法案可決断固拒否との大規模なスト決行につながりました。人々は「もし医者の組合が詳細に調査しなかったら、私たち国民は事の重大さを知らないまま法案が可決され、大変なことになるところだった!」と言っています。 この法案は今年3月から早くも施行されるところだったのです。

 また項目第88は信教の自由を奪うものですが(違反すると7年~12年の懲役刑と罰金)、政府機関で現在実施している先住民族の信仰(豊穣の神・ 大地の母パチャママ)崇拝だけは許可される仕組みです。プロテスタント教会連合も1月17日、平和的なデモによりこれに抗議しました。私は当日高地の支援地にいましたが、私の友人たちは参加しました。そして私の親友がある橋を渡っていた時、道路の端から男性がストの参加者一人一人の顔をビデオカメラに収めていることに気づきま した。警官が「何をしてるんだ!」と言うと、その男性は慌てて立ち去ったいうことですが、友人は「政府が迫害の対象にする者の証拠写真を撮っていたのだと思う」と言っていました。

 ボリビアは立憲共和制で二院制ですが、現大統領エボ・モラレスが 2006年に就任後急速に社会主義の キューバやベネズエラに追随するようになりました。今回政府は"この法 案の修正案を作成する"と回答しました。信教の自由禁止に関しては、すでにこの2月隣国のウルグアイでも法案可決を推し進める動きが起こっていま す。

 私たち一人一人の人権は決して侵害されてはならない、それを守る法律は決して変わってはならないものです。"私たちはこの世の中で正義を貫く戦いの最前線にいる"という意識を持ち、祈りつつ自国であるいは世界で何が起こり、何が起ころうとしているのかを知り、考え、正しくまた賢く対処する知恵を神様から頂きたい、そして自分にできるアクションをとっていきたいと願っています。

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