2013年05月30日

【パキスタン】収入機会のない女性に職業訓練・自立支援プログラム


 当機構は2012年11月から、パキスタンのパンジャブ州バシーラ地区にあるシャー・ワラ村で教育をベースとした自立支援プログラムを始めました。人々が自分たちの生活上の問題を見つけ、解決するための過程を支援しています。

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【ミシンを使って裁縫を学ぶ村の女性たち】

 シャー・ワラ村の15歳以上の識字率は約20%、労働者の60%は日雇いです。衛生状態は悪く、トイレの普及率は約25%です。この地区は2010年の洪水で大きな被害を受けた地域の一つです。この時の緊急支援を機に私が所属する教会と病院がこの地域と交流を持つようになりました。
 まずは9回の地域のリーダー教育から始めました。内容は「自立した地域活動とは」、「リーダーシップ」、「」問題を解決するためのプロセスなどです。その後リーダーの間で話し合った結果、収入を得る機会がほとんどない女性のために、職業訓練を始めようということになりました。
 リーダーの一人であるサージダさん(女性)が自分の敷地にある小屋を修理し、場所を提供してくれました。そして今年の5月から、自ら無償で女性たちに裁縫と刺繍の技術を教えています。今後の課題は、学んだ女性たちが継続的に収入を得ることができるよう、仕事をつくることです。彼女たちは、プログラムを通して得た収入の5%を集め、村の為に使いたいと考えています。
 また、この村の約15人のボランティアを対象に保健・衛生教育と聖書をベースにしたモラル教育を2013年2月から始めました。彼らは学びつつ家々を訪問し、自分たちが学んだことを、他の人たちへ伝えています。

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【サージダさん(左)と水上さん】

 できることから始めながら

 ここまで来るまでに、難しい事もありました。2010年の洪水を機に、沢山の組織がパキスタン内外からやって来て被災地の支援を行いました。それは必要な事だったのですが、その結果、緊急時を過ぎた今でも外部の人間を見ると、何かを無償で得ることができると期待する人が非常に多くなりました。シャー・ワラ村でも、私たちが学校や職業訓練施設を建てるなど様々な憶測があり、リーダー研修に参加するとお金がもらえると考えていた人たちもいたようです。自分たちの地域の為にできることから始める、協力し合って働く、という考え方が村全体に定着するまでには、時間が必要だと思います。
 この地区はイスラム教徒の人たちが暮らす地域で、私たちはこの働きを通して彼らと良い関係を築き、彼らの生活を具体的に支援しながら、神の愛を分かち合いたいと願っています。(パキスタン・ウイメンズ・クリスチャン ホスピタル 水上京美スタッフ)

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