2011年04月08日

炊き出しとともに(本郷台チーム)人の温もり


6日と7日の二日間にわたり、横浜から参加している本郷台キリスト教会ボランティアチームなどによる炊き出しと物資配布が石巻市2ヶ所で行われた。

「温かいおしるこありますよ。ぜひ食べていってください!」通りを歩く人々に声をかけながら、おしるこ炊き出しが、甚大な被害が出ている石巻市街地の鹿妻小学校周辺で行われた。
「おいしい、こんなの食べたかった。疲れているから甘いものが嬉しいです」おしるこを味わう皆さんの口々からそんな声が聞こえてくる。ライフラインの復旧もままならない中、自動車も自転車もなく、徒歩で避難所と自宅のあった場所に通われる人たちがよく来られた。「近くの郵便局が流されて、遠くの郵便局に行ってきた帰りです」「昼間は泥だらけの1階の片付けにいくんです」本郷台のメンバーがたずねるまでもなく、自分の置かれている状況を自然と口にされる方も多い。
 炊き出しとともに、新鮮な野菜類、卵、果物、下着や衣類、衛生用品、鍋などの物資配布コーナーも設営し、それぞれいま必要なものを取れるようした。野菜や下着類はすぐになくなる。
 この炊き出しとともに近隣住民をたずねて物資の配布も行い当機構女性スタッフも加わった。その中では生活の現状をたずねながら、時には涙を分かち合いながら、祈りによる心の励ましも行われた。心と体の飢餓対策がこの日本の被災地でも続けられている。
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 前日の6日には牡鹿半島折浜のお寺(峰耕寺)に避難されている50人の方々と周辺の高齢者宅などを対象に、牛飯炊き出しも行われた。その牛飯には、宮崎の火山噴火で出荷できずに困っていた農家が育てた野菜(大根)も具材として使われ、みなさん「お肉が食べたかった、この大根もやわらかくておいしい」と喜んでおられた。
 こちらの避難所情報を伝えたのが、当機構の活動に協力していただいている地元の阿部稔さん(元船員62才)。阿部さんは自ら被災し、親族に犠牲者を出しながらも、「全国からこんなに応援をいただいているのに、わしらが元気をださなあかん!」と自らを奮い立たせて当機構と被災者支援を続けてくださっている。とくに支援の手があまり届いていない被災者の状況や物資配布における地元の方々との折衝や物資の一時保管場所の提供などで阿部さんの情報や交渉力は大きな助けとなっている。
 高台のお寺に避難されている方の中には、頻発する余震を恐れて来ている80才以上のお年寄りもおられた。その中のお一人が「まだ漁師の息子がみつからないんだよぉ」と食事も喉が通らないほど気落ちされていた。そんなお婆さんに、ちょうど息子さんと同年代の阿部さんが、「おばあさま元気ださないと、考えても息子は帰ってこない。これ食べてけれ!」と家で握ってきた大きなおにぎりを差し出す。お婆さんはその明るくて元気な声に促されて、お握りのお米を数粒ずつ口に運ぶことができた。
「おいしいやろ、食べないと」とみんなが喜ぶ中、「○○さん、あんたの息子さん浜であがったよ」との知らせが届く。その知らせを耳打ちされたお婆さんの瞳からは大粒の涙がすぐに溢れてくる。この人を元気にしないとと思っていた阿部さんや近所のお婆さんたちも、笑顔から一転「いかっだなぁ、いかっだなぁ、これで安心できるよなあ」と涙声で手を握りあった。みんなで励まし、みんなで笑い、みんなで泣く、この小さな避難所に身を寄せる人々は辛い試練と向き合うために必死にたたかい続けておられる。
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