2011年04月27日

元海外駐在スタッフ小崎敏志の体験記


4月26日、仙台に来てはじめて救援活動に参加した。活動場所は東松島。津波で2階立ての1階が水に浸かった家々の床をはがし、泥をとりのぞく作業に男性3人で取り組んだ。

 作業は高齢者の住人の立ち会いのもとで進めた。最初に許可をもらいリビングのフローリングの床をはがす作業をした。ボランティアの一人に大工経験のある人がいたので、その人に教えてもらいながら行うことができた。床板外しは大きなバールを使って、一枚一枚はがしていくのだが、力の入れ方もわからず最初は少し戸惑った。この作業は、高齢者や女性の方には厳しいと思う。とにかく泥と砂にまみれながら黙々と進めなければならなかった。防塵マスクやゴーグルはやはり必要だった。この日は一日かけて、床ははがしまでで終わり、泥だしまではできなかった。
 休息中、そのような家に住む被災者の一人とゆっくり話すことが出来た。彼は、「たくさんのボランティアの人たちが来て、海外からも来て親切にしてくれます。来てくれるだけでも本当に大きな励ましなんです」と、笑顔で語ってくれた。そして、その日海外から視察に来ていたボランティアの人に、自分の撮影した松島の美しい海の写真をプレゼントしてこのように話してくれた。「遠くからきた人が、この地の悲惨な姿だけを見るのが悲しいんです。だから津波が来る前のきれいな写真をプレゼントしたいんです。」涙が出た。
 突然見舞われた災害で彼の心は辛いこと、悲しいことでいっぱいなはずだ。それでも彼は、物事の悪い一面だけを見るのではなく、良い面を見ようとしている。私はどうだろうか?と問いかけられる。
 これからしばらく支援活動に参加する中で、支援活動を黙々とこなすことだけの者にはなりたくないと思う。苦しみ、涙する人たちと一緒に、涙できるものでありたい。そしてただ、「可哀想に・・」と同情するのではなく、ここに住む人たちと共に希望を持てる者でありたい。そしてそのことを表面的にではなく、心から語れる者でありたいと心から願う。
小崎さん.jpg
小崎敏志さんは、当機構元ウズベキスタン駐在スタッフ、現在は神学校で聖書の学びと訓練を続けている。

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