新人スタッフの安達と鶴若の海外研修日記をお届けします。
安達スタッフはタイ王国へ。鶴若スタッフはコンゴ民主共和国へ。
【写真:アカ族の子どもたちと(チェンライのお茶農家にて)】
●良い関係から良い活動に
【タイ王国】 安達燎平
私はこの5月からタイ北部でFH(国際飢餓対策機構)のパートナーにより行われている「アカ族農家の収入向上プロジェクト」に新人研修を兼ねて参加させていただきました。 そこはタイ、ミャンマー、ラオスの国境が隣接する高原で、世界最大の麻薬生産地です。かつてはゴールデン・トライアングルと呼ばれていましたが、タイでは前国王の政策でケシ栽培は禁止され、代わりにコーヒー豆や野菜、果物の栽培が奨励された結果、コーヒーはアジア有数の大規模生産地になりました。
ところが、ここで暮らすアカ族の農家の人々は貧困に苦しんでいるのが現実です。生産した農作物の引きとり先の工場やスーパーマーケットが不当に安い価格で買い叩くため、収益が極めて低いのです。
このプロジェクトでは、収益向上を願うアカ族の農家に対してオーガニック(有機)栽培を行うことを条件に、農作物をこれまでの2倍の価格で引き取り、香港などの海外市場に輸出し、そこで出た利益もアカ族農家に還元して収入向上に結びつけています。
私はこのプロジェクトに参加させていただいて人との関わりの大切さを知りました。FHの行う支援は、人々と良い関係を作ることから始めます。市場に足しげく通い彼らの名前を覚えて、どんな野菜を作っているのか、何人家族なのかなど、会話を通して信頼関係を築いていきます。生産者とバイヤーあるいは支援者と被支援者というような関係ではなく、友人となって接する中で、彼らの心も開かれ、そこで初めて本当に良い働きが生まれてくることを学びました。
【写真:茶葉の茎を取る農民】
安達スタッフの新人VSカエル!!の動画はこちら
●人を前に向かわせる源
【コンゴ民主共和国】 鶴若仰太
【写真:鶴若スタッフとコンゴの子どもたちと】
Hands of Love Congo(以下、HOLC)は、貧しさの中で闘っている人々に、多くの愛の手が届くようにとJIFHを通してコンゴ民主共和国に立ち上げられたNGO団体です。
HOLCの活動の1つに"フィーディングプログラム" があります、ASOMIPという孤児の養護団体と協力して行っています。HOLCは週に1度、この団体の日曜日昼の給食をサポートしています。この日は煮豆とご飯。
その中に"マイシャ"という15歳の女の子がいます。彼女は5歳の時にこの団体に引き取られました。両親に捨てられてから、路上で寝るような生活をしていたそうです。その時のことを彼女は「暗く、孤独だった」と短く振り返ります。
家庭によって理由は様々ですが、仕事もなく、飢えや貧しさで、子どもを養うことが出来なくなり捨ててしまう、そんなケースが多いようです。
「初めてここに来て、カトリーヌさん(ASOMIP代表)に会った時、お母さんが出来たと思えました。自分以外の存在と繋がることが出来ました。そのことだけでも嬉しかったです」と話す彼女の夢は、自分と同じような境遇にある子どもたちを助けられる存在になることだそうです。"独り"だった彼女の瞳は今輝いています。希望がどれだけ人を支え、立ち上がって前に向かわせるのか、その大切さを痛感しました。
【写真:マイシャ】