「雨が降れば 傘をさせばそれでいいが
人の心にさす 傘は頼りなく」
頼りない傘のために心が濡れに濡れ、悲しみの中にある人がいます。
今年の夏、ウガンダワークキャンプの引率をさせていただきまして。
その期間中に里子の家を何軒か訪問させていただきました。
その中で最も印象的だったのはムルタくんの家です。
彼の表情は暗く、どこか寂しげな瞳をしていました。
話を伺うと、幼い時に両親を亡くしていました。
現在は、亡くなった父の兄弟家族に引き取られ、そこで生活をしています。
何を質問しても、表情は固いままで、力のない小さな返事が返ってくるだけでした。
しかし、1度だけ彼の表情がゆるむ瞬間がありました。
それはムルタくんを支援している日本の里親さんについて話した時でした。
彼の里親さんは日本のキリスト教会の方々が支援してくださっています。
私は、以前その教会を訪問したことがあったので、
教会の皆さんがムルタくんのために一生懸命祈り、
応援しているよと彼に伝えました。
その瞬間、彼の目がぱっと明るくなり、
照れくさそうにしながら、英語で「Thank you」と言ってくれたのです。
しばらく一緒に過ごした後、私たちが帰ろうとすると、
彼はFHウガンダのスタッフに現地の言葉でこう言ったそうです。
「ぼくは今まで、自分には価値がないと思っていた。
人生は無駄なものと考えていた。
でも、今日、自分を愛してくれる人たちが日本にいることを知ることができた。
神様がぼくをどれだけ愛してくれているかを感じることができて、本当にうれしい。」
里子にとって、日本の里親さんは希望です。
「雨が降れば 傘をさせばそれでいいが
人の心にさす 傘は頼りなく
だから代わりに涙を流すのかな
悲しみにおぼれてしまうその前に
小さくてちっぽけな僕たちは
一人ぼっちにならないように出来ているね」
『悲しむ者は幸いです。
その人たちは慰められるから。』
(聖書 マタイ5:4)