2015年12月09日

【フィリピン】長期的な視点で住民による地域開発に取り組む


 日本国際飢餓対策機構は、食料や学用品などの短期的な状況改善を目的とした援助活動や緊急援助と、長期的な視点に立って根本的な問題解決を図るための支援の両方をおこなっています。ハンズ・オブ・ラブ・フィリピンがミンドロ島サンアンドレス村で取り組んでいる地域開発と呼ばれている活動は、この長期的な視点に立っておこなわれる活動です。この「地域開発」は、一般の国や地方自治体にだけに頼るものではなく、「そこに住む住民たちが、自分たちが抱える問題の解決に自分たちで取り組みようになっていくこと」です。

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【写真:住民によって行われた社会調査(2015年7月)】


人の可能性と変化

 ハンズ・オブ・ラブが支援している地域の人々の考え方や心が、どのように変化しているのかを他の人に知ってもらうのは簡単なことではありません。

 例えば、教育支援の為に学校の校舎を建てたのなら、写真一枚でわかります。しかし校舎が建ったからといって子どもたちが学校に来て、学び始めるということにはなりません。その前にまず、子どもたちが学ぶ意義を保護者が理解して学校に送り出すことが必要です。そして子どもの教育に意欲的に取り組む。それがあって初めて教育支援は実のあるものとなります。

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【写真:6年前に作成された村の地図】

 地域開発での最初の一歩は、地域住民の人々が家族単位の考え方から社会的に、地域的に物事が見えるようになることです。私たちがこのシドと呼ばれている少数民族、マンヤン族の集落に関わり始めた時、住民参加型の社会調査(PRA)を行いました。住民を代表して参加してもらった方に地域の様子の地図を作成してもらったのですが、そこに描かれた地図は集落の情報が非常に乏しかったことを覚えています。地域のリーダーと呼ばれる方は何人かおられましたが、その方々が地域のために何かしているかということも見受けられませんでした。地域リーダーの役割も明確なものがないように思われました。この単なる家族の集まりにすぎないシド村の人たちが、一つの共同体、社会となっていくためにどのように関わっていくべきなのか、それが私たちの課題となりました。

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【写真:婦人に対する識字教育】

識字教育を足がかりに

 具体的な活動としては、まず青年、婦人に対して識字教育を行いました。そしてその修了者たちによって新しくグループ活動が生まれました。この村では家族単位でないグループ活動自体が目新しいものでした。そのグループの運営支援や行政機関が提供する住民支援サービスへの申請支援、そしてリーダーシップトレーニング等々を行ってきました。

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【写真:住民ボランティアによるモラル教育(2014年8月)】

自分たちの思いを地図に

 7年間という月日が経って、私たにちは個人でも村でも変化が起きていることは実感できるのですが、それを支援してくださっている方に伝える方法はないかと考え、再度PRAを実施することにしました。前回は集落の代表だけでした
が今回は参加したい集落の人々全員に参加してもらい、一日かけて社会マップ、資源マップを作ってもらいました。

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【写真:今年作成された村の地図】

 結果として、写真にあるように私たち自身も驚くような地図が作成されました。最初は地面に描いてもらいました。若干縮尺(距離感)がおかしいところもあったのですが、紙に描き写した時にはそれらも修正されていました。最終
的に完成した地図は、家の位置関係、その家にはどんな人が住んでいて、家畜を飼っている、飼っていない等、村の様子や有り様が一目瞭然となっていました。また情報をわかりやすくするためのマークも自分たちで考案していました。家族の名字の頭文字も書かれていました。私たちはこの地図を村人たちが作成したのを見て、私たちの思い以上に自分たちの村に対する人々の思いが募っていると思いました。

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 地図の作成ができたからといって、人々が一致して問題解決に取り組むということにはなりませんが、以前は私たちが何かを始めるのをずっと待っていた人たちが、最近は村全体の問題としてああしたい、こうしたいと相談してくるようになってきました。私たちはこの地図を見て改めて人の可能性を知ることになりました。

関わり過ぎないこと

 この村からの撤退の時期が近づいてきていると思っています。確かに問題はたくさんあります。しかし人が住む以上、村から、人の社会から問題がなくなるということはありません。大切なのはそれに取り組む姿勢とその手法を持っている、ということです。人々の中で育つ自尊心を尊重するのであれば、過度の干渉(手助け)は依存心を生むことになり逆効果となります。その全てに関わることは私たちのすべきことではないと思っています。

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【写真:保護者による給食活動】

 私たちは、今後は彼らが生み出していくビーズクラフトのような製品を取り扱うビジネスパートナーとして関わる可能性を探っています。そうすることで新たな共生社会が築いていけると考えているからです。皆様にはもうしばらくこの働きをご支援をもって見守っていただければ感謝です。

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