2013年09月24日

【ケニア襲撃事件】市橋牧師からの報告(コイノニア教育センター)


 ケニアの首都ナイロビ郊外のショッピングモールが武装グループに襲撃されました。この事件の死者は少なくとも62人に上り、ケニア赤十字社は65人の安否が不明としています。発生後3日目に入った23日深夜までに当局が建物全体を掌握したと発表したものの、グループの一部は依然として立てこもりを続けています。(9月24日CNN)

 当機構が支援しているコイノニア教育センター(ケニア、ナイロビ)の市橋牧師から昨晩、現地の緊迫した状況を伝えるメールが届きました。以下に掲載させていただきます。

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本文(9月23日 22:49)

 世界中に流れた、ナイロビで起こったテロリストによるショッピングモール襲撃のニュースは皆さまを驚かせたことと思います。特にナイロビに住んでおられた方々にとっては ウェスト・ゲートはなじみの場所であると思います。皆様にはご心配をおかけしておりますが、現在家族は守られております。この事件はケニア人にも多くの衝撃と悲しみを与えています。私たちもこのような事件がケニアで起こったことに、深く心を痛めています。

 ケニアは隣国ソマリアとの国境で問題があり、軍隊を派遣していました。反面、ケニアはこれまで20年以上も、ソマリアからの難民を受け入れ彼らの命と尊厳を守ってきました。ソマリアの過激派ゲリラ、アルシャバブはナイロビ攻撃をもくろんでいることは知られていて、ショッピングモールに入るためには、持ち物検査や、ボディーチェックが行われていました。しかし、人々の心に警戒感が薄れたころにこのような事件が起こりました。

 私たちが事件を知ったのは、高校生の息子ノアからの電話でした。まだニュースにもなっていない段階でした。午後1時に友達と会っているはずのノアから携帯に電話があり、小声で、しかも興奮した様子で、「アルシャバブがウェストゲートをアタックして銃で人を殺しているから警察を呼んで」という内容でした。驚いてすぐに知り合いの警察官に電話をしたところ、事件は把握している。現在向かっている。との答えでした。ノアにもそのことを伝え、逃げるようにと言いましたが、逃げることはできないという返事でした。数人と隠れているということで、その後しばらく連絡が途絶え心配していました。

 最初の連絡があってから約2時間後に、無事に脱出できたという連絡が来て、待ち合わせ場所まで歩いてくるように指示をし、迎えに向かいました。ノアはショックを受けていましたが、怪我もなく無事でした。シャツやズボンは血だらけでしたが、それは自分の血ではなく撃たれて自分の上に倒れてきた人の血が飛び散っていました。屋上の駐車場にある大きなジェネレータの後ろに隠れていたところを、白人の男性が、レストランの裏口から外に出るように誘導してくれたそうです。

 ノアはテロリストの顔も見ていましたし、パニックになり立ち上がって叫んだために撃たれて倒れる人たちも見ました。一緒にいた友人は反対方向へ逃げようとしたが、ノアが止めて命が助かったそうです。隠れていた場所のすぐそばまで手榴弾が転がってきましたが、爆発しませんでした。見たところ錆びていたそうで、それで爆発しなかったのでしょう。神さまが彼を守ってくださったのです。

 教会のメンバーのコイナンゲ夫人も、たまたまこのショッピングモールにあるスーパーマーケットへ来ていました。「落ち着いて!一緒に逃げよう」と若い女性が彼女の手を引いて誘導し外まで連れ出してくれたそうです。彼女は銃声と悲鳴を聞いたものの、何が起きているのかわからないまま、自分の身を隠していたそうです。まるで天使が現れて救い出してくれたようだと語りました。彼女もかなりショックを受けていましたが、夕方彼女を訪問し、共に祈ることができました。

 長女ハンナはカウンセラーとしてさっそく呼び出しがかかり、PTSDなどの対応に当たっています。怪我をした人や、体を負傷していなくても、悲惨な現場を見て心に傷を受けた人々、肉親を失った人々をカウンセリングするためです。初日は実際のカウンセリングだけではなく、全体の管理をする仕事にも駆り出されています。 彼女が待機している場所は現場のすぐそばですが、そこにも爆弾が仕掛けられたという情報が流れるなど、緊張した中で仕事をしています。

 現在月曜日の午後です。事件発生から50時間以上が経過しました。まだ人数の確認できない人質とテロリストは建物の中にこもっています。地下を含めて5階建ての建物のうち3階までは軍が制覇しています。

 コイノニアの関係者は全員関わりがなく無事でした。キューナ幼稚園では2つの家庭が巻き込まれましたが、誰も負傷することなく現場から4時間後に救出されました。

 こんな悲惨な事件の中でも小さな希望を見ることができました。1つは、自分の命を懸けて、人質の救出に向かった警察官や軍の人たちがいたことでした。助け出された人たちは彼らに心から感謝しています。何度も危険な中に戻り、隠れている人たちを助け出したのです。ケニアでは警察官は汚職にまみれているというイメージで、まったく好意を持たれていませんが、その中でも人命のために任務を遂行する勇気ある人たちがいるのです。

 もう1つは、多くの負傷者が病院へ運ばれましたが、血液が大量に不足していました。テレビなどからの呼びかけに多くの人々が献血に駆け付けています。早期解決と、家族を失った人々や負傷した方々のためにどうぞお祈りください。

追伸(9月24日 2:24)

 テロリストは破壊を目的としています。人々の中に不安と混乱を与えようとしています。しかし、今回ナイロビで起きたテロ事件は、人々に人種を超えて一つとなってこの悪の力に立ち向かわせています。ケニアは複雑な人種によって構成されている国ですが、事件が解決されていない状況の中でも、テレビを通して移されるシーンは、様々な人種の人たちが助け合っている姿です。インド人がアフリカ人の子どもを抱いて逃げている姿、アフリカ人がインド人のご婦人を支えて逃げる姿、白人の子どもをかかえて走るインド人、アフリカ人、ビルから出てきた人を抱えて救急車に運んでいるのはアフリカ人、インド人など様々な人たちです。インド系の人たちにはヒンズー教徒もいれば、イスラム教徒もいます。またターバンを巻いたシーク教徒もいます。ソマリア人であってもすでに何世代にもわたってケニアに住んでいるケニア国籍の人たちもいます。

 病院で手当てを受ける人も、治療や看護にあたる人たちも人種は様々です。献血をする人、軍隊に食料や飲み物を送る会社。
今ケニアは最も困難な問題を抱えながらも、人々は心を一つにして平和のために戦っています。テロリストこそ、すでにこの戦いに負けているのです。多くの命が奪われましたが、正義は貫かれるのです。


(報告:市橋隆雄、さら)

≪過去記事:最貧家庭の子どもたちの学舎(コイノニア教育センター)≫
http://www.jifh.org/news/2013/09/kenya-koinonia-201309.html

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