2013年07月03日

【東北】食卓から考える放射能のこと(いのちのことば社)


 震災から3年目をむかえる被災地で、食品放射能計測所「いのり」を設置し、不安と闘う人々に寄り添いながら、支援活動を続けている人々がいます。当機構も彼らの働きに賛同し、携帯用の放射能計測器の支援をさせていただきました。その活動を進める中で得られた情報をもとに、今回一冊の本が出版されました。この本は、食事で放射能のダメージを最小化するために出来ることや放射能に負けない具体的なレシピなどを紹介し、生活者の視点で書かれ、とても分かりやすい内容となっています。本の出版にあたり、現場からの声として、東北ヘルプ事務局長の川上直哉先生の記事を掲載させていただきます。

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   孤立も不安もモノやカネでは解決できない

 3年目の被災地より、主にある平和をお祈りいたします。多くの方々からの祈りとご支援に、心から感謝いたします。

 恐怖をもって思い出される津波の爪痕も、「がれき」の撤去と共に、見えなくなりました。他方、無数の遺体の折り込まれた瓦礫を見て過ごさなければならなかった数週間は、深い心の傷となり、人々を今も苦しめています。見た目の平常と、見えない痛みが、混在して被災地にあります。そこに、風化という現実の切なさがあります。被災者の「孤立」という問題が、そこに浮き彫りになってきます。

 暗中模索する原子力発電所爆発事故の処理は、悪戦苦闘しています。何も変化しないまま、異常事態が日常化してしまいました。通常、どのガイガーカウンターも、「0.3」という数値で警報音をけたたましく鳴らします。しかし、放射能汚染地における路地や林では、「1.0」や「2.0」という数値が、普通に確認されます。もう誰も、ガイガーカウンターの警報音を鳴らしません。そして、昨年まで「通常」とされた人数の40倍から2400倍の発症件数で、子どもの甲状腺癌が確認されたそうです。老人の心筋梗塞の数が、2倍以上になっているそうです。しかし、それはすべて「放射能とは関係がない」とのこと。こうして「不安」が募ります。

 「孤立」も「不安」も、モノやカネによって解決するものではありません。ですから、行政官や政治家や医療者が必死に努力していますが、問題は解決しない。そうした諸機関と共に、人々の魂に寄り添い、不安を共にし、その上でなお、絶望に抗して立ち尽くす、そんな働きが必要です。それこそ、教会の役割ではないでしょうか。

   放射能計測所「いのり」の使命

 外部被ばくと共に、食べ物や呼吸によって体内に入ってしまい、身体の中から放射線を浴びてしまう「内部被ばく」の問題があります。この問題に対処するべく、仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(通称:東北ヘルプ)といわき教会連合震災復興ネットワーク(いわきSARSネット)が協力し、宮城県仙台市と福島県いわき市に、食品放射能計測所「いのり」を設置しました。2011年12月の開所以来延べ250名の方が利用してくださっています。「いのり」は放射能計測だけでなく、「不安に脅かされる魂をケアする」ことが目標です。

 体内に入ってしまった放射性物質は、体から排出されるまで放射線を出し続け、細胞を傷つけることになります。計測所では食品のみならず、尿と母乳の計測もします。不安と闘うためには、まず現実を見なければなりません。現実に向き合った後、生活の中で放射能と闘う日々が始まります。その際に必要なのは情報です。

 放射能計測所では、自分達で知りうる様々な情報を整理し「食卓から考える放射能のこと チェルノブイリから受け継ぐべき知恵」(いのちのことば社)という本を出版しました。食事で放射能のダメージを最小化するために出来ること、放射能に負けないレシピ集なども掲載して不安を少しでもやわらげる助けになればと願っています。

 被災地の教会は疲れ、弱っています。しかし、祈りによって支えられています。被災地の教会も他者のために祈りの輪に加わろうとしています。2011年秋、タイの洪水を覚えて、私たちは「世界食料デー仙台大会」を開催しました。そして今年は、コンゴ共和国で内戦によって国内難民となった人々を支援するために、教会が立ち上がり、いのちの糧を届けて行こうという働きが始まったことを飢餓対策ニュースで知りました。その様子は、今の被災地の教会の姿に重なります。

 できることは少ないかもしれない。しかし、私たちの働きは孤立していない。そのことを覚えるために、祈りがあります。その力は、大きなものであることを確信しています。(東北ヘルプ事務局長 川上直哉先生)

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同書をお読みになりたい方は、直接いのちのことば社へお問合せください。

いのちのことば社「食卓から考える放射能のこと」紹介ページはコチラ

東日本大震災被災者募金に引き続きご協力よろしくお願いいたします。

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