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真の豊かさを生きるために

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「吾唯足知」の生き方を

バックナンバー2008

NO.237

真の豊かさを生きるために

国内啓発総主事 田村治郎

真の豊かさを生きるために

一人一人に与えられている可能性を信じて(カンボジア北部オドー・メンチェン州)

「真の貧しさとは、すでに与えられている潜在能力に気づかず、何も用いないことだ」。

これは、昨年フィリピンの活動地を訪問させていただいた折、首都マニラの北部にあるサンローク地区の水上生活者のエリアで出会った、地域リーダーのゴエゴロさんが語ったことばです。水上生活者の家は、ゴミとヘドロの海面の上に板をはり伸ばし、いくつもの小さな家が重なり合うようにひしめいて存在しています。沿岸には風と波で漂着したごみが山のように積み上げられ、異臭を放っています。

その町の海岸に向かう通りには、裸足で遊ぶこどもたちと同じ風景にインターネットカフェやゲーム機が並ぶ店舗が複数あり、店内では多くのこどもたちが興じていました。それぞれどれくらいの費用がかかるかは分かりませんが、この一つの風景の中にいるこどもにも、お金のある者とそうでない者との生活の違いが浮かび上がっているようです。そして、往々にして貧しさにある者は、自分たちには何もないのだから仕方がない、何もできないとしてあきらめ、そうではない富裕層を羨むことがあります。

しかし、先のゴエゴロさんは、目に見える物質的な富だけがその人を豊かにするものではなく、それぞれの人に既に与えられている潜在能力を見出し、それを用いることこそが真の豊かさなのだと信じて、大人たちには収入につながるプロジェクトを、またこどもたちには価値観の土台を形成する教育の機会を提供しています。そして、自らの内にある能力を活用することを通して、持てる者への依存ではなく、そこに生きる人が自分にもできるのだと変革され、互いに助け合う自立した地域変革が推進されているのです。

この「人が変革され地域が変革されていく」視点と取り組みは、世界の飢餓や貧困の解決への重要な鍵となるのではないでしょうか。

「私たちは、この宝を、土の器の中に入れているのです」