NO.235
海外事業部総主事 柳沢美登里

世界のこの1~2年の動きは、今まで当たり前だった経済動向や将来の暮らしなどが予測不能になったことを物語っている。戦後、短期間のうちに先進国の仲間入りをし、近年、世界経済第2位の地位を保ってきた日本社会は、今、大きな転機に立たされている。中国やインド、また新興国による世界の方向性の決定への影響力と経済力が高まり、少数の先進国の見解で先が読めた時代は終焉を迎えている。飢餓貧困問題においても、「持つ国」と「持たない国」という「南北」の構図というより、どの国においても住む場所や食料に事欠く貧困層の広がりが現実になっている。一方、「持たない国」のなかでも、教育が広がり、斬新なアイディアによって、底辺の人々の自立を進める人が多く出現するようになった。
慣れ親しんできた世界の動きは「終わり」を迎え、予想し得ない不確定要素に満ちた時代が「始まり」を告げている。
では、この転換期に「飢餓貧困」への関わりを考えるとき、日本に生きる私たちは何を大切にしたら良いのだろうか。
日本人は長い間、日本の経済力が優れていることに安住してきた。また資源や輸出先獲得という自国の必要の尺度から、各国、民族の重要度を測ってきたと言える。が、私の海外での経験が教えてくれるのは、どの民族にもユニークで感心できる長所があるということだ。残念ながら日本もかつて行った植民地支配時に植えつけられた「自分たちは他民族より上」という精神性から脱却するための真の治療法は、それぞれの民族が長所を差し出し、足りない部分を補い合う「相互依存」の推進ではないだろうか。
先が見えないといわれる時代は、お互いがなくてはならない存在であるという「相互依存」を目指した新しい民族の関わりを世界で構築していく絶好の機会なのかもしれない。飢餓貧困の解決も、それぞれの国の優れた多くの人が生かされて問題解決していけるように支援をしていくことが、これからの世界貢献の姿なのではないだろうか。
「見よ。私は新しいことをする。今、もうそれが起ころうとしている」