NO.226
開発・教育部 総主事 田村治郎

収穫の喜び(エチオピア・オーディト)
先日、広島のローカルテレビ局「広島ホームテレビ」が日本国際飢餓対策機構・広島事務所の働きを取材してくださいました。「密着ルポ」と題して、主に学校講演を中心にした国内啓発活動が紹介され、放送終了後から電話やメールを通して、募金の申し込みやご意見など多数いただき、反響の大きさに感謝しています。しかし、このような飢餓や貧困問題への高い関心をうれしく思う一方で、考えさせられるのは、私が全国を巡回させていただく中でたびたび耳にする「自分ひとりが支援したからといって人々を飢餓から救えるんだろうか」という疑問の声です。
1日に一食すらままならない極限の状況に置かれている飢餓人口は、10億人を超えるだろうといわれています。この現実を前にすると私たちの働きが何を解決し、どのような実を結んでいくのだろうかと不安に襲われることがあります。不安は「日常のささやかな節約や募金などで何も変わらない」という誘惑の声となり、私たちの内に「あきらめ」「無力感」を生むのです。
しかし日本は現在、日々の食料を世界中の国々に依存しており、私たちの日常生活は、世界にある飢餓や貧困と深く関わっています。であるなら、私たちの生活の中での小さな変化や行動は、この悲劇を終わらせる一歩にもなりうるのではないでしょうか。
また「10億人」という数字だけを見るなら、圧倒されてしまうでしょう。しかし「一人が一人を」と考えるならどうでしょう。今必要をかかえている人に手が差し伸べられ、自立へと導かれ、その人が他者に手を差し伸べる人に変えられていくなら、この現状は必ず変えられていくはずです。
今私たちは、内なるあきらめの声を「一人の一歩が、数千、数万の人の生活を変え、世界を変える」に置き換えて、飢餓と貧困に闘う、多くの人々の善い隣人となっていくことが大切ではないでしょうか。
「堅くたって、動かされることなく・・・励みなさい」