NO.216
開発・教育部 総主事 田村治郎

中国・四川省大地震から2週間後、テントの仮教室で授業が再開されました。(綿陽市にて)
6月3日~5日まで、ローマで緊急開催された世界食糧サミットの開幕演説で、国連食糧農業機関(FAO)のディウフ事務局長は「年間1000億ドル(約11兆円)もの食糧が浪費され、1兆2000億ドル(約130兆円)もの武器が取引されている。飢餓に苦しむ人を救うための300億ドル(約3兆円)がないなどと言えるだろうか」と、工業先進国に対し強い言葉で語りかけました。
先号で世界の穀物価格の急騰をお伝えしましたが、その大きな原因のひとつが、化石燃料の代替エネルギーとして世に登場した、とうもろこしやサトウキビなどの植物から生産されるバイオエタノールです。
2005年、世界規模の石油価格の急騰を期に、地球温暖化の具体的な防止対策としてのみならず、ビジネスチャンスの投資先としても注目され、エネルギー問題の救世主として脚光を浴びてはいますが、同時に食料とエネルギーとの境目が壊されるという深刻な問題を生み出しています。
これは、貧しい国々に生きる人々の食を直撃しています。例えば、とうもろこし価格の上昇は、それを主食とするアフリカの、特に世界で最も貧しい人々が生きるサハラ砂漠以南の人々にとっては死活問題となっています。
湯水のように燃料を消費する一方で、代替エネルギーとしてバイオエタノールを求め、食料と燃料の争奪戦を繰り広げることは工業先進国の傲慢です。特に食料もエネルギーも他国任せの日本は、過去2度のオイルショックを乗り越えた省エネ先進国として、作物ではなく食品廃棄物などをエネルギーに転換する技術開発に取り組んでいます。けれども大切なことは、私たちがただ豊かさと便利さを追い求めるのではなく、少しの不便さを受け入れ、生活の見直しをしていくことではないでしょうか。食料危機の只中にある地球の隣人同士として、一人一人の日常変革が求められています。
「だれでも、思うべき限度を越えて思い上がってはいけま
せん。
…むしろ、慎み深い考え方をしなさい」