NO.215
特命大使 神田英輔

「いつか学校に行きたい」(エチオピア・ベロ地区)
世界銀行の推計によると、食糧価格は過去3年、世界平均で83%高騰、小麦は181%値上がりするなど、今、食糧価格の高騰が世界的な大問題になっています。カリブ海沿岸やアフリカ、アジア諸国ではデモや暴動も発生。カメルーンやハイチでは死者を出し、ハイチでは首相が解任される事態になっています。
国連世界食糧計画(WFP)のジョセット・シーラン事務局長は、今年4月ロンドンで開かれた「食糧サミット」で演説し、飢餓という「沈黙の津波」が世界の最貧国に押し寄せていると警鐘を鳴らしました。第二次世界大戦以来最悪と言われる食料危機は、既に貧困国の子ども2,000万人を脅かし、「過去半年で数百万人が新たに飢餓状態に陥った」と指摘しています。
自由経済の世界においては、商品価格は需給のバランスの「見込み」によって決定されます。食料全体としては地球に住む人々全てをまかなうに十分な量があったとしても、企業群や投機家たちは、バイオ燃料の推進、原油高、異常気象などを理由に供給が減少するのではないかという危機感を更にあおることで、「投機商品としての食料」によって莫大な利益を上げています。自給率が極端に低く、食料を全面的に海外に依存し、しかも輸入している食料の三分の一にあたる量をごみとして捨てている日本の消費者の私たちが「食料の値段が高くなった」と嘆くだけで良いのでしょうか?
世界に目を向け、飢餓のために亡くなっていく方々のことに思いを馳せ、国内農業のあり方、自給率の低さなどを含め、私たち一人ひとりがなすべきことを真剣に考え、実践する好機の到来です。愛が冷えた社会にしてしまわないように、これまで以上に読者の皆様とご一緒に取り組んでいきたいと願わされます。
「世の終わりには、‥民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こり、…不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります」