NO.236
特命大使 神田英輔

知人の薦めを受けて、ジャック・アタリ著「21世紀の歴史」を読み、大変考えさせられました。アタリ氏はフランス・サルコジ大統領の政策委員会の議長をしておられます。
ジャック・アタリ氏は21世紀中盤までには三つの波が混ざり合って人類を襲うと分析しています。
第一の波は、マネーの波です。市場の力がますます加速することによって自然環境は食い物にされ、警察・軍隊なども含めすべてが民営化され、極度の富と貧困を生み出し、マネーによる狂気が世界を席巻するようになるというものです。第二の波は暴力の波です。人類が悲観的な未来にひるみ、暴力によってグローバル化を押しとどめようとするなら、人類は頻繁な残虐行為や破壊的な戦いに陥ることになるというのです。
そして最後に、人類に壊滅的な被害をもたらすことになるマネーの波、暴力の波では持続可能な世界を構築することは不可能だと悟る人々によって作り出される第三の波が起こることを、アタリ氏は期待しています。人類に希望をもたらす波です。自分の利益よりも他者の利益を優先し、利潤のみを追い求めずにサービスを生む、調和を重視した新たな経済が、通常の市場と競合する形で発展していくというのです。
これらの波の中で、第三の波を地球規模に広げることができるなら、自由・責任・他者への尊厳などに関して新たな境地が開かれるようになり、次世代にきちんと保護された地球環境を遺すことができるようになるであろうと言っています。NGO活動はこのような第三の波のはしりとも言えます。
21世紀を迎えて、マネーと力という二つの大きな嵐が人類を襲うことが予測されていますが、今から第三の波の担い手として行動することも可能です。世の中が暗くなればなるほど、ろうそくの小さな光であっても周りを明るく照らします。小さい光になろうではありませんか。
「あなたがたは世の光である。…あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」