ハンガーゼロ アフリカ」とは

NewsLetter巻頭言

2017年06月01日

見えない絆を回復させる働き

スタッフ:NewsLetter巻頭言のブログを見る

 東日本大震災の後、私たちの教会では被災者の支援活動を始めました。まず、津波被害地域に出向いて支援物資を配布しました。次に被災した家屋の清掃、修繕に取り組みました。その後は仮設住宅で生活している人々のために様々なイベントを開いて、被災者の方々を励ましてきました。

01ssudan_nl062017.jpg
【写真:配布された野菜の種を受け取る南スーダンの国内避難民の女性たち】
※関連記事:【南スーダン】深刻な食料不足がつづく(募金受付開始)

 そして私たちの地区では、被災5年目になる昨年にはほとんどの人が復興公営住宅に移り、行政から被災者として特別な配慮を受けることはなくなりました。町の様子は以前とはまるで違う、都会化された雰囲気を漂わせています。

 私たちは定期的に同じ被災者の方々と関わってきましたので、年配者である彼らの様々な悩み、将来への不安等を耳にすることが多くなってきました。イベントの時、私たちはよく食料品を持って行きました。それが喜ばれていましたので、一昨年NPO法人「いのちのパン」フードバンクを立ち上げました。復興支援活動はこの春で終了しましたが、これから長く被災者の方々を励ますために、定期的に戸別訪問して食料支援をしていきます。

 対象者の多くはかつては農業従事者だったので、ある程度食べ物についてはまかなうことができ、家もあったので国民年金でも何とか生活できました。彼らは現在、マンションのようなきれいな住宅に住むことができているのですが、家賃を始め水道光熱費、食費等、以前よりも支出が多くなりました。

 また、重い扉を閉じると周りの音が何も聞こえなくなることによる孤独感、社会からの疎外感が口から出てきます。「白い檻に入っているようだ」「仮設住宅が懐かしい。不自由さはあったが隣近所と仲良かった」。そのような人たちに食べ物をお届けしながら声がけをしています。被災者は見えるものを失っただけではなく、隣人との関わりという見えないものをも失いつつあります。フードバンクの働きによって食料だけでなく、いくらかでも見えないものをも取り戻す手助けができるようにと願っています。

 被災者の方々が、遠くから来ていたボランティアが帰る時「忘れないで下さい。見捨てないで下さい」と言っていたことを思い出します。その叫びを今では耳にすることはありませんが、被災者の心の中でいよいよ大きくなっているのではないでしょうか。

 日本国際飢餓対策機構は食料支援、災害支援を含めた様々な活動によって善隣共生を実現させようとしています。それは見えるものによって、見えない絆を回復させる働きなのです。


日本国際飢餓対策機構 理事 大友幸一
(6月号巻頭言No.323)

活動ブログ スタッフ一覧

月別表示