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NewsLetter巻頭言

2017年01月01日

心に蓄える一粒の種

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 新年おめでとうございます。昨年も皆様の尊いご支援をいただき、世界の飢餓・貧困にあえぐ方々に愛の手を差し伸べ、物心両面で必要に応えることができたことを心から感謝いたします。

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【写真:学校に通うバングラデシュの子ども】


 さて世界的な異常気象やそれよる自然災害が多発している中で、危機感を覚えた人たちが、あるプロジェクトに取り組みました。それが「スヴァールバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)」です。ベント・スコウマンが提唱し、あのビル・ゲイツが主導して、2008年2月26日にノルウェーのスピッツベルゲン島にこの施設は建設され操業を開始しました。「種子の箱舟計画」と言われるこのプロジェクトは、今後の大規模な自然災害や病気の蔓延、紛争による農作物の被害が甚大になり作物の絶滅が懸念される時に、それらの作物を絶滅から救い保存することを目的としています。マイナス18〜20度に保たれた貯蔵庫に300万種の種子の保存が可能であり、地球温暖化が進んでも永久凍土の中にあるこの施設はマイナス4度が保たれ、しかも海抜120メートルにあるので、海面上昇があっても被害を免れると考えています。

 画期的で素晴らしい計画です。しかし一方で、そのような自然災害の原因となる地球温暖化や農地の荒廃をもたらす紛争を食い止めることに、どれほど努力がなされているでしょうか。まるで、車が山道のカーブを曲がりきれずに谷底に転落する重大事故の多い場所があって、そこで怪我人を助けなければならない時に、事故の際のためにと谷底に病院を作るようなものです。確かに病院はけが人を救うためには必要なものですが、もっとしなければいけないのはその山道そのものの調査と整備ではないでしょうか。

荒廃した世界のために種子を保存しておくこと。それは大切なことだと思います。しかしもっと大切なことは、その危機的な世界に生きる私たち一人ひとりの心ではないでしょうか。巨大プロジェクトで種子を大量に蓄えておくことも必要でしょう。けれどもその前に、私たち一人ひとりの小さな心に、小さな愛の種を一粒蓄えること、そしてそれを自分以外の誰かのために分かち合い育てる時に、それは冷たい貯蔵庫に蓄えておく何百万の種よりももっと価値あるものになるはずなのです。今のこの時代だからこそ、あなたや私のあたたかい心に、小さな愛の種を蓄えましょう。そして蒔いて育てましょう。きっと素晴らしい実りが、収穫があるはずです。

日本国際飢餓対策機構 理事長 岩橋竜介
(1月号巻頭言No.318)

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