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NewsLetter巻頭言

2016年07月01日

もう一つの「パナマ」も深刻

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 食品スーパーの特売コーナーでバナナが100円で売られていることがあります。私たちにとって「バナナは安い」が当たり前の感覚になっている中で、海の向こうではバナナを滅ぼしかねない病気が深刻になっています。専門家によると「パナマ病」は強い毒性をもつカビの一種が原因で、この菌は根から感染して木そのものを殺す「萎凋」を引き起こすとのことです。カビに汚染された土地(畑)は、以後何年もバナナを栽培できなくなるともいわれています。

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【写真:支援をしているルワンダのピース国際学校の子ども】

 「パナマ病」はバナナを扱う人々にとって最大の仇敵の再登場です。私たちが食するバナナは「キャベンディッシュ」という品種ですが、1900年代の中頃までは、もっとクリーミーで美味しいとされた「グロス・ミシェル」が全世界で消費されていました。それを絶滅させたのが「パナマ病」です。その対策として病に耐性がある「キャベンディッシュ」が見つけ出されて、現在のスタンダード品種となりました。ところが再登場した「パナマ病」は、このキャベンディシュにも感染する「新パナマ病」だということです。大規模生産者の都合で、一品種のバナナを大量生産する方式の弊害を指摘する声も出ています。それによって安価に生産されるバナナの消費先が私たち豊かな国々に向けられていることも見過ごせない現実です。

 フィリピンでは干ばつとこの病気による減産も加わって、バナナの値段が上がり始めています。日本が輸入するバナナは、開発途上国に君臨する多国籍企業の管理下で働く土地をもたない「雇われ農民」や、貧しい小規模農民の手で作られています。もし、この病の影響がさらに広がるとバナナ産業が立ち行かなくなり、それは農民たちの働き場だけでなく、彼らの身近で大切な栄養源が失われることにもなります。人々の健康維持に欠かせないバナナの病が、産地で暮らす貧困層をさらに脅かそうとしています。日本ではフィリピンに住む人々の安い労働力で安価なバナナが手に入りますが、それもいつまで続くのかわかりません。

 いま世界を揺るがしているパナマ文書の出現は、世界の経済界に潜んでいた富裕層の姿を暴露して、格差社会の現実を映し出しました。そして、もう一つの「パナマ」が、格差社会で貧困と闘う人々の弱い立場を私たちに教えようとしています。この先「最近バナナが高くない?」の一言で終わらせないようにしたいものです。

日本国際飢餓対策機構 広報主任 鶴浦弘敏
(7月号巻頭言No.312)

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