エチオピアの首都アジスアベバで、都会の豊さの恩恵にあずかれるのは、ほんの一握りの人々に限られます。路上では、ティッシュペーパーやガムなどを売って日銭を稼いだり、靴磨きや荷物運びをしたりする子どもたちがあちこちで見受けられます。物乞いをする人々もいます。

首都南部ネファスシルク地区とアカキ地区は、日雇い労働者や低賃金で働く工場労働者が多く住む地区です。この地域に住む子供たち、特に少女たちは、貧困のため、教育を受ける機会を得られずにいます。そのため、よい仕事につくことができず、本人の意思に関わらず早い時期に結婚させられたり、HIV/AIDSへの感染の危険のある売春を身近な人々から強要されたりします。特に、この地域には、孤児や女性が家計を支えなければならない家庭が多く、厳しい貧困の中で暮らしています。
このような貧困の悪循環から抜け出すため、子どもたちが教育を受けられ、それを支える保護者が安定した収入を得られるようになることが鍵となります。ネファスシルク地区とアカキ地区にて、子どもの教育支援を行っている現地NGOのSave Lives Ethiopiaとの協力の下に、女性の能力開発プロジェクトが2007年10月から始まりました。受益者となっている女性たちの約60%が子どもを持った未亡人であり、30%がシングルマザーです。

プロジェクトは、女性たちが自分たちの課題を認識・解決し、将来への可能性を広げていくために、知識や技術を学ぶ事と同時に、「考える」過程を大切にしています。具体的には、家計を支えるために必要な小規模事業訓練や識字教育、職業訓練、保健衛生教育、専門の訓練者による自己評価向上トレーニングを行うなど、包括的に支援します。また、女性組合からは、女性たちは事業を始めるための約4万円を上限とした種火資金を借り入れることができます。将来、自分たちでローンを運営していくことが出来るように、女性たちは、借りた額に対して10%上乗せした額を1年かけて返済していきます。プロジェクトの全過程において、女性たちが、自分たちの課題を認識し、解決していくために、貧しさによって失われた「自信」を取り戻していくことが期待されています。

1年目(2007年10月~2008年9月)の今年は、40名を支援しています。プロジェクトが始まって、3日間の小規模事業訓練会が2回開かれました。女性たちは、経営、会計、市場調査、需要と供給、その他、小規模事業の一般的な概念などを学びました。また、訓練会の中では、小規模事業を行っている女性が参加し、彼女の経験などが分かち合われる時間もありました。訓練会後、それぞれが訓練会で学んだ事を用いて、小規模事業についての計画が立てられました。
また、女性たちが事業を始めるために小規模ローンを管理、利用していく事が出来るように、2つの女性組合が結成されました。これから、本格的に、女性たちが包括的に家族を支えていく事ができるように支援していきます。