自治州最北ヤンラー地区の、マオディン中心小学校と、周りの山村に散在する6つの小規模小学校において、主に学校設備の拡充や学習環境の改善、寄宿舎で生活する生徒たちの生活環境向上に取り組んでいます。またマオディン中心小学校では、教師たちによって「貧困学生支援基金プログラム」がスタートし、その基金は、学校で運営する小規模売店の収入から充てられます。当機構はその開設資金を支援しました。
東部海岸部と内陸部で貧困格差がますます広がる中国。その内陸地域のひとつ雲南省のディーチン・チベット自治州の最北にあるヤンラー地区は、4つの行政村と約60の村(集落)から構成されています。チベット族が多く居住する、都市から隔絶した山岳地域です。

ヤンラー地区の村々は、20ないし30家族ほどで、村の学校で学ぶ生徒たちの数は、10人前後です。村の学校は「一師一校」と呼ばれる小規模小学校で、1人(もしくは2人)の先生が1年生から3年生(または4年生)までを複式学級で教えています。4年生以上になると、生徒たちは村から遠くはなれた「中心小学校」に移り、寄宿舎生活をしながら学びます。地域の集落の分散状況にもよりますが、一番遠い村から「中心小学校」までは、徒歩で丸一日ほどの距離になることもあります。
また、村の学校の教室などは、非常に簡素で、設備の乏しさが目に付き、中には、校舎が老朽化して、壁土が崩れ始めているような危険な状態の学校もあります。政府予算も安定しないためか、教員給与の支払いが何ヶ月も溜まったままになっていることさえあるといった現状です。
プログラムは、2003年秋より、地区内の中心小学校であるマオディン小学校と周りの山村に散在する6校の小規模小学校において、主に、学校設備の拡充や学習環境の改善、寄宿舎で生活する生徒たちの生活環境向上に取り組んでいます。これらの活動は、マオディン小学校の校長を中心に進められています。マオディン小学校校長は、小規模小学校6校を監督する責任も負っています。
これらの学校設備改善に関して、プログラムの主体と本質的な責任の所在はどこにあるかを明確にしていくために、現地政府、またはヤンラー地区の校区などが予算の一部を負担することを原則としています。また、現地で調達できる木材や石、砂などの建築資材の準備、現場で必要となる単純労働などは、全て(村単位で)村人が負担しています。
また、マオディン小学校では、教師たちによって、2005年9月「貧困学生支援基金プログラム」が始められています。この基金を捻出していくために、学校では、小規模売店の経営しています。
教師たちが交代で売店の経営に参加し、その売り上げは順調に伸びています。3年間で30万円以上が、基金として得られました。基金の設立の意図や目的に沿って、生徒たちへの奨学奨励金や学用品支給などのために、これまで合計約9万円が使われました。

また、この基金の中から、小学校のシャワー室建設費の一部を負担しました。教師たちが、学校の課題解決に直接的に関係したことは、教師たちの自主性や主体性が大きく成長する助けとなりました。
イエリー・コン村は、22世帯、人口約110人の集落で、村の小規模小学校では、1名の教師が6名の生徒を教えています。この村には、道路が通じておらず、生活に必要な物資の運搬や村人自身の移動手段は、馬やロバ、あるいは騾馬による運搬と、急勾配の山道に沿った徒歩となります。
小学校の校舎は、伝統的なチベット様式で建てられていて、屋上は平らで土を打ち固めて造られていました。長年の雨風の影響で、凸凹のある屋上の凹んだ部分に水が溜まり、そこから水が滲み込んで教室などに雨漏りをおこしていました。この屋上部分に瓦を敷いた屋根を敷設することができました。また、村人たちは、屋根の葺き替えのために必要な木材を山から調達することや、屋根瓦などの建築資材をふもとから村まで運びあげるなど、村人たちが主体となって屋根の修理を行いました。

ナンレン村は、42世帯が生活している海抜約3400メートルの寒冷地にあります。村の小学校には、2名の教師が19名の子供たちを教えています。地域にある6校の小規模小学校の中で、生徒数が一番多い小学校です。老朽化した椅子と机、崩れかかった土壁で囲まれたトイレの補修が行われました。また、土壁に大きい亀裂が入っていたため、雨漏りがしていた倉庫と教師用の厨房も補修されました。

上述の小学校小規模プロジェクトに関して、20代後半のマオディン小学校校長が調整役を努めました。校長は、村に足を運び、村長や村のリーダーたちとの話し合いを重ねてきました。校長は、「当初、村人たちの心情や村の状況がよく理解できなかった」。しかし、「プロジェクトを通して、自分と村人たちとの距離が縮まり、交流を深めることができた。」と述べています。更に、「その様な経験を積む過程で、忍耐や知恵を尽くす時、問題を解決し、困難を克服する事ができることを教えられた。村人たちと私は、物質的経済支援と共に、貴重な財産―精神的財産を得る事ができた」と評価の報告書に記しています。
青年校長が責任ある良い働きを行うことによって、その効果は生徒たちに直接的に及ぶと共に、これまでとかく「僻地の学校だから・・・」と諦めに支配されてきた教師たちや、村々のリーダーたちの良い模範となり、良い影響を与える事につながると期待しています。