社会差別と貧困のために基礎教育を受けることのできないこどもたちを支援しています。ハリジャン・パリでの活動は、2009年12月末に終了予定です。

差別によって社会の最下層に生きることを余儀なくされているコミュニティにて、その地域の女性たちがグループをつくり、識字教育、職業訓練、貯蓄活動などに取り組み、共に成長し合い、自立していくことを目指しています。小さな商売を始めるなど、経済活動も積極的に行われており、地域社会や家庭の中で女性の尊厳の回復が見られるようになっています。
最貧層に生きる人々がグループ組織を作り、グループを中心に、識字、職業訓練や貯蓄活動などを通して、収入向上活動に取り組みます。また、人権、保健衛生、リーダーシップなどの学びの場を提供することによって、人々が主体となり地域開発を行っていけるように支援していきます。この取り組みの中から、コミュニティ図書館の運営なども自発的にされています。グループのリーダーたちは、1ヶ月に1度、リーダー会議を持ち、それぞれのグループの活動報告やグループ内で起きた問題を共に分かち合い、解決策を探っていきます。グループ活動を通して、最貧層に生きる人びとの尊厳の回復、互いに仕え、グループの中の問題を共に解決し、共に成長し合っていくことを目指しています。

ドゥムニ地区は、東と南側には川、西と北側は湿地に囲まれているため、ダッカ近郊にも関わらず、通信や交通といった面で孤立している地域です。特にリシパラ村は、カースト制度の中で特に地位が低いとされる靴職人が多く住んでいます。靴職人は、動物の皮革を用いて靴を作るため、リシパラ村に住む人々は、軽蔑され、貧しい環境の中で生活しています。また、この地域の少女たちは若くして結婚するので、家庭内での女性の教育への関心が低く、識字率は男性と比べとても低いということが課題です。

ゴノクトゥリ地区は、首都ダッカの南西部に位置します。約450名が生活するように作られた居住区ですが、実際には、その4倍近くの1,700名が住んでいるため、雨季には、排水があふれ出て、道路は汚水で洪水状態となります。
ゴノクトゥリの人々は「不可触民」と呼ばれ、カーストの外の最貧層として、階級差別を受けてきた人々です。多くの人々は、道路清掃、靴修理、死体運びなどに従事しています。

人々は貧しいが故に困難に直面していますが、同時に、彼らにとって最も大きな障害は、社会の彼らに対する虐げや蔑みなどの差別です。そして、社会的差別を受け続けることにより、人々自身も、自分たちを価値ない者とみなすようになり、将来への希望や自尊心、自信の喪失に繋がっています。
プロジェクトが始まってから5年目に入り、現在は674名によって、41グループができました。リシパラ村の人々に以下のような変化が起きています。

識字教育活動により、女性の識字率が飛躍的に改善されました(2003年35%→2007年56%)。
女性たちは、読み書きができるようになっただけでなく、日々の生活に必要な簡単な計算も出来るようになりました。また、大人たちが読み書きの大切さを身を持って体験したことで、こどもたちを学校へ送ることにも協力的になっています。リシパラ地区の子供たちの識字率は、プロジェクトが始まった時には8%だったのが、現在は98%になりました。
グループでの話し合いを通して、様々な病気に対する知識を深めることが出来ました。特に病気の予防法を学び、家庭の中で実践することによって、病気が驚くほど減りました。また、母親たちは栄養教室に通うことによって、こどもたちの慢性的な栄養失調が減少してきています。
グループでの話し合いを通して、人権について学びました。結婚や離婚、ダウリー制度(結婚の時、花嫁の両親が多額の持参金を花婿に支払う風習)、相続などに関した家族法、土地に関する法律、児童労働、市民権などについての知識を深めることにより、不当な理由で騙されたり、付け込まれたりするのを防ぐことに役立っています。

約560名の女性たちが、家族の収入向上のために、裁縫、家庭菜園、養鶏、ろうそく作りなどの様々な訓練に参加しました。その結果、この訓練会に参加している女性たちの4人に3人が、訓練を生かして収入を得るための活動を始めています。女性たちが積極的に経済活動に参加するようになり、社会や家庭の中で、人間としての女性への尊厳の回復が見られるようになってきました。

レッカさんは13歳の時に結婚し、2人の娘がいます。彼女の夫が農業と野菜を売ることで、収入得ていましたが、夫の稼ぎのみに頼る生活は、とても苦しい状況にありました。
読み書きが出来ないレッカさんは、自己評価がとても低く、自分自身も家計を助けるために外で働き、収入を得るなどと考えたこともありませんでした。

2005年にレッカさんは、15名の女性たちと学習・貯蓄グループのメンバーとなりました。レッカさんは、8ヶ月に及ぶ識字教室を終了し、現在は週に1回開かれる、健康や人権などの勉強会に参加しています。また、その他にも、家畜の育て方や裁縫、基礎的な獣医師の訓練会などにも参加しました。
様々なグループ活動を通して、レッカさんの中には勇気と自信が育ってきています。彼女は習った技術を生かし、家々を周り、飼われている鶏にワクチンを施す仕事を始めました。また、2008年5月には裁縫の訓練会を終了し、服の仕立て屋を始めました。この2つの仕事を通して、月2,100タカ(約3,000円)の収入を得られるようになりました。
彼女は言います。「家計を一人で支えていくことは、私たちには不可能です。でも、それぞれの能力に応じて、男性と女性が働き、家計を支えていくべきだと思います。夫と夫婦セミナーに参加してからは、二人の関係もより信頼関係が強まっています。」
女性のための識字教室によって、女性の識字率は、2003年当初の41%から80%と飛躍的に改善されました。読み書きができるようになり、グループのリーダーたちは、彼ら自身の手でグループの活動記録や月間報告を書くことができるようになりました。また、母親たちは、積極的にこどもたちを学校に送るようになっただけでなく、こどもたちの勉強さえも見てあげることが出来るようになりました。又、子どもたちの99%が学校に通い、途中で学校を辞めてしまうこどもは、ほんの少しでした。
グループの女性たちは、定期的に保健衛生について話し合う機会がもたれています。グループメンバー同士で話し合い、励まし、学び合う中で、女性たちの健康と病気予防に対する意識が変わっています。
女性たちはグループで地域の銀行に口座を開設し、定期的にグループ内で集めたお金を積み立てています。グループ内で、必要を抱えている家族が収入を向上していくために、商売を始める、もしくは拡大していくために、この積み立て金が使われています。女性たちはサリーの仕立てや刺繍縫い、美容室などの商売を始めています。このように、女性たちが、家族を養っていく助けとなるような重要な役割を担い始めたことにより、人々は家族や地域の中で地位の低かった女性たちに対して、高い価値と尊敬を持って見るようになっています。
